◆香典とは
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
香典とは「香を供える」という意味に由来していますが、貴重な品を提供するという意味に解釈することもできます。
昔は葬儀となると近隣の人々に食事の振る舞いをしなければなりませんでしたが、それが多額の出費となるため、遺族は大きな負担を強いられることになりました。
その負担を村全体で助け合うために、「食料」を提供したことが、庶民にとっての香典のはじまりといわれています。
明治になって金銭香典が広まってきましたが、完全に食料から金銭へと移行したのは戦後になります。
本来、香典を出すのは葬儀の日とされていましたが、現在は通夜、葬儀・告別式いずれかに持参します。
もし通夜のときに香典を持参した場合には、葬儀では記帳のみを行います。
葬儀またはお通夜のいずれにも参列できない場合や、勤務先など仕事関係者は弔電を打ちます。
弔電を打つ場合の宛先は、喪主または「故○○○○様ご遺族様」となります。
◆死亡通知を受けた時には
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
通夜の日時、会場および告別式の日時、会場を必ず確認します。
宗教も忘れずに尋ねておきます。
香典は通夜または葬儀のいずれかに持参します。
宗教によって不祝儀袋の表書きが違うので注意しましょう。
どの宗教でも使えるのは
「御霊前」です
。
通夜またはお葬式・葬儀に出席できない時には弔電をうちます。通夜または葬式の香典は別途現金書留などで送るようにします。
弔電
(お悔やみ電報)の宛先は喪主あてになります。
香典はお悔やみの手紙を添えて、なるべく早く現金書留などで送ります。
不祝儀袋に入れるお金は新札は使わないという習慣が古くからあります。
新札しか持ち合わせがないときには軽く折り目をつけてから香典袋にいれます。
◆法事とお香典マナー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
仏教では、参列者がお供えするのし袋の表書きに「御霊前」という表書きが使えるのは、四十九日の法要までです。
それ以降の50日めからは、「霊」ではなく「仏様」になります。
例えば一周忌、三回忌、七回忌といった法事では、「御仏前」または「御佛前」という表書きを使います。
その他に法事の熨斗袋の表書きに使えるのは「御香料」「御供物料」などです。
一方、遺族が、初七日〜四十九日の法要にお寺にお包みするお礼の場合の表書きは「御布施」「御経料」「御法禮」「御回向料」「お布施」などですが、
これは忌明け後も用いられます。
※ なお、上記の表書きは仏教、仏式の場合です。
◆香典の金額・相場ってどれくらい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参考までに一般的な金額の目安を自分との関係別にお伝えします。
★両親 :5万円〜
★ADIcJl :2万円〜5万円
★兄弟姉妹 :2万円〜5万円
★親戚 :1万円〜5万円
★友人・知人・隣人:5千円〜2万円
★仕事関係者
:5千円〜2万円
★顔見知り程度 :3千円〜1万円
このほか、お花や供物を送ることもあります。お花や供物の場合はだいたい1万円からになりますので、個人名で出すほか、「友人一同」「親戚一同」「○○会社」などで
一括してまとめて出すことも多いです。
会社や町会などでは、最初から相場や金額が決まっている場合もあります。
◆香典袋の選び方
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
金額に応じた不祝儀袋を
選ぶようにしましょう。
★3千円〜5千円
袋に水引が印刷されたタイプの簡易不祝儀袋。
中包みがない場合もあります。
★1万円〜3万円
黒白の水引、双銀の水引(7本〜10本)。
★3万円〜5万円
高級和紙、双銀の水引(10本以上)のもの。
★10万円以上
高級和紙、水引に手が込んでいるもの。厚みもあって少し大きめ。
※いずれも袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがマナーです。
◆仏事・葬儀で使用する水引の種類
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★黒白の水引
葬儀・法要に用いられます。
★双銀の水引
葬儀・法要に用いられます。黒白と比べると少し高級感があります。
★黄白の水引
葬儀・法要に用いられます。
主に京都、北陸地方で使用。精進潔斎を表す京都御所作法とされています。
関西地方では法要や寺院へのお布施などに用いられることもあります。
◆結び方の種類
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★結び切り
「繰り返さない」「一度で終わる」
という意味で、葬儀で使用される結び方。
★あわじ結び
結び切りの一種で、慶事・弔事両方に用いられます。「末永くつきあう」という意味で、お布施にも用いられます。
※水引については、地域によって色や結び方など作法が異なることもあります。
★僧侶など宗教者は喪に服しているわけではありませんので弔事用は使用しません。
通常は白い封筒か、金額が多い場合は奉書に包み、
「お布施」と書いて渡します。
★寺院の行事(灌仏会、落慶法要)などお祝い事の場合は
紅白もしくは五色の水引を使用し、蝶結びにします。
★お墓の建立の場合は
紅白あわじ結びが
一般的です。
◆香典袋(不祝儀袋)の書き方
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
不祝儀袋の水引から上の場所に
薄墨で表書を書き、下に名前をフルネームで書きます。
★仏式
仏式の場合、四十九日以前は「御霊前」、
四十九日後は「御仏前」を使います。
浄土真宗では霊の存在がありませんので「御仏前」が適切となります。
その他に「御香料(ごこうりょう)」
「御香資(ごこうし)」「御香典(ごこうでん)」の表書きは、「お香をお供えします」という意味になりますので、浄土真宗でも失礼にあたりません。
★神式
神式でも「御霊前」は使用できます。ほかに「御榊料(おんさかきりょう)」「御神饌料
(ごしんせんりょう)」「御神前」「御玉串料」などと書きます。
★キリスト教式
「お花料」が一般的です。
カトリックでは「御ミサ料」も可(プロテスタントでは不可)です。
★無宗教式(宗旨・宗派にとらわれない葬儀)
一般的によく使用されるのが「御霊前」。「志」「お花料」「御香資」「御香料」でもOKです。
★連名の場合
複数名の連名で香典を出す場合、右から上位者・目上の人を書くようにします。上位・下位等の区別がない場合は、
五十音順で書きます。
◆香典の渡し方のマナー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
受付で「このたびはご愁傷様で
ございます」とお悔やみを述べます。
受付係が「お忙しいところご会葬頂き恐れ入ります。こちらに記帳をお願いします」などと言いますので、
まずは記帳をします。
記帳を済ませたらふくさから香典を取り出し、先方から見て名前が読めるように袋の向きを改めて「どうぞ御霊前にお供え下さい」
と一言添えて香典を渡します。
香典は必ず両手で差し出します。一礼して受付の前を去ります。
◆香典を出すときは袱紗(ふくさ)に包んで
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━